北口の大時計の下で二時間待った
覆いが外された北口の大時計の下で、私は五年前の冬、二時間待った。来なかった恋人が送った「分かった」の三文字は、別の時計の下から届いていた。展示パネルの小さな注記…
覆いが外された北口の大時計の下で、私は五年前の冬、二時間待った。来なかった恋人が送った「分かった」の三文字は、別の時計の下から届いていた。展示パネルの小さな注記…
高校の2年間、毎朝7時20分に橋の手前で一緒になる同級生がいた。吉岡はいつも川の側を走り、帰りは一度も一緒にならなかった。14年後、市役所の窓口に来た1枚の転出…
夜10時、佐渡の柿畑から届くビデオ通話。画面の中の彼は、いつも左の耳にだけ片耳のイヤホンを挿していた。聞き逃されるたびに笑い合った2年のあいだに、私は少しずつ片…
店の奥、水道の脇の白いバケツには、売り物にならないはね出しの花が挿してある。毎月14日、そこから一輪だけが消える。電話をかけてくるのは毎回ちがう人で、みんな22…