岬の灯台と手のひらの声
昭和三十一年、離島の灯台守だった俺は、時化の海から耳の聞こえない娘・汐里を救い上げた。帳面と手話で言葉を交わすうち、島じゅうが手話を覚えていく。声にできない想い…
昭和三十一年、離島の灯台守だった俺は、時化の海から耳の聞こえない娘・汐里を救い上げた。帳面と手話で言葉を交わすうち、島じゅうが手話を覚えていく。声にできない想い…
耳の聞こえない僕は、物心ついたときにはもう手話が使えました。習った覚えはありません。その理由を主治医が明かしたのは、僕が父に手を上げるようになってからでした。仏…
福井・鯖江の眼鏡フレーム工場で、削りの音だけを頼りに生きてきた父親の話です。三歳の娘の難聴を告げられた冬、家じゅうの戸がいつも五センチだけ開けてあった理由と、台…
耳の聞こえない私の手話には、左右が入れ替わる癖がある。教わった父が、図書館の本と洗面所の鏡だけで覚えたからだ。鏡の前の手話しか知らなかった父の三年間を、私は十七…
静岡・浜松でピアノの響板を作る工場で出会った妻は、生まれたときから音を知らないろう者でした。西日の部屋で背後からそっと告げた、聞こえるはずのない言葉。それでも妻…