カテゴリー: ちょっと切ない話

銀の指輪の重さ

3年ぶりに帰省した孫が、祖母の指に50年間輝き続ける銀の指輪を見つけた。祖父が5年かけて贈った指輪に込められた無口な愛情と、老いていく祖母の姿に、失われた時間の…

十七年後のボタン

十七年前、文化祭で落としたカーディガンのボタン。拾ってくれた隣の席の彼は、返さないまま卒業した。薬剤師になった私の前に、あの日のボタンが届くまでの物語。…

不格好な湯呑み

左官職人の夫と無口な妻。三十年間毎朝使い続けた湯呑みの底に、妻が結婚当初に刻んだ小さな五文字を発見する。言葉にできなかった夫婦の想いを描く、心に染みる物語。…

片道三時間の嘘

三年間帰らなかった実家。電話口の「大丈夫」を信じたふりをしていた俺と、膝の痛みを隠していた母。軒先の干し花が教えてくれた、不器用な親子の本当の距離の話。…

割烹着に残る花の匂い

港町の惣菜屋で働く母の割烹着が恥ずかしかった。東京で花屋を開いた息子が十年ぶりに帰郷して見つけたのは、母が裏庭でひっそり育てていた息子と同じ花だった——心が震え…

青い丸の約束

夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…

千の祈りの数え方

小学生のころ、二人でよく折り紙の鶴を折った。大人になって離れ離れになった幼馴染の母が、ある日花屋を訪ねてきた。娘が折り続けていた鶴のことを話してくれた。…