万華鏡と最後の一枚
昭和四十四年、雪深い湯の町の写真館。療養に来た娘・佐紀さんに頼まれ、僕は毎日一枚だけ町を撮った。裏を見ないでとわたした写真の、その裏に綴られていた言葉――万華鏡…
昭和四十四年、雪深い湯の町の写真館。療養に来た娘・佐紀さんに頼まれ、僕は毎日一枚だけ町を撮った。裏を見ないでとわたした写真の、その裏に綴られていた言葉――万華鏡…
瀬戸内の造船の町で、身寄りのない見習いの私は、廻船問屋の娘・志津と出会った。療養先から届く文の終いには、いつも「迎えに来てね」。五十年近く手放せずにいる、掌ほど…