声の出ない弟子と最後の一巻
昭和三十三年、山の村を巡る映写技師だった俺と、声の出ない少年・耕作。ダムに沈む村での最後の上映会は失敗し、別れの言葉を言えないまま俺は坂を下りた。二十三年後に届…
昭和三十三年、山の村を巡る映写技師だった俺と、声の出ない少年・耕作。ダムに沈む村での最後の上映会は失敗し、別れの言葉を言えないまま俺は坂を下りた。二十三年後に届…
閉館の貼り紙が出た古い名画座で、私は別れた彼が遺した上映日誌を開いた。映写室の熱、雷の夜のオールナイト、病室の白い天井。鉛筆の特集リストは九本で止まり、十本目だ…