妻が拾った4380の音
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
裂けた学ランの背中を白い糸で縫った日から、三十年近く。制服バンクの受付に、その上着が返ってきた。襟の裏には七人分の名前が重なり、背中の白い縫い目だけが、秋の光の…