2年前、旅行先での駐屯地祭での事。
例によって変な団体が来て、私は嫌な気分になっていた。
するとその集団に向かって、一人の女子高生とおぼしき少女が向かって行く。
少女「あんたら地元の人間か?」
団体「私達は全国から集まった市民団体で…云々」
少女「で、何しに来たんや?」
団体「憲法違反である自衛隊賛美に繋がる…云々」
少女「私は神戸の人間や。はるばる電車に乗って何しにここまで来たか解るか?」
団体「…?」
少女「地震で埋もれた家族を助けてくれたのは、ここの部隊の人や。
寒い中ご飯を作ってくれて、風呂も沸かしてくれて、夜は夜で槍を持ってパトロールしてくれたのも、ここの部隊の人や。
私は、その人達にお礼を言いに来たんや。
あんたらに解るか?
消防車が来ても通り過ぎるだけの絶望感が。
でもここの人らは歩いて来てくれはったんや…」
最初、怒鳴り散らすように話し始めた少女の声は、次第に涙声に変わって行った。
あまりにも印象的だったので、今でもはっきり憶えている。
団体は撤退。
彼女が門をくぐった時、守衛さんが彼女に社交辞令の軽い敬礼ではなく、直立不動のまま敬礼していた。