私は事故に遭い、足が不自由になってしまいました。
車椅子なしでは外出も出来ませんし、トイレも昔のようにスムーズに行うことが出来ません。
そんな私から友人たちも離れて行きました。
でもたった一人、事故に遭う前からずっと私の傍には彼が居てくれるんです。
何度も八つ当たりしました。
物を投げつけたり、酷いことを言ったり、自殺を図ろうとしたり…。
今思うと恥ずかしいですが、この世で自分が一番不幸だと思っていました。
でも彼は私の傍から離れて行きませんでした。
リハビリ、トイレ、嫌な顔一つせずに介助してくれました。
引き篭もりがちになっていた私を、何度も外に連れ出してくれました。
※
そんな彼とこの間、食事をしに行った時のことです。
順番待ちをしていると、偶然彼の友人達と会い、誘いもあったので相席することになりました。
そして食事中、彼の友人達が笑いながら話し掛けて来たのです。
「まだ付き合ってたんだ」
「○○は正直面倒だろ。まだ若いんだし、新しい彼女を作った方がいいんじゃない?」
「セッ○スも出来ないんじゃなー」
「○○ちゃんもさ、考えたら普通別れるよね」
その言葉に対して彼は、
「うん、そうだな」
と答えたのです。
心が痛みました。
言葉では表現出来ない感覚でした。
やはりお荷物だったのか、同情だったのか…。
涙が溢れて来ました。
しかし彼はそのすぐ後に言葉を続けたのです。
「でも、俺は迷惑だとか思ったことは一度もないし、違う彼女が欲しいと思ったこともない。
お前らの彼女の基準はセッ○ス出来るか出来ないか、なのか?
だったら寂しいな。
足が不自由だろうが彼女は彼女だ。
俺はこの先もずっと一緒に居るよ」
そう言って食事代をテーブルに置き、
「行こう」
と私を連れ出してくれました。
※
店から出た後、
「そういう事だからさ…もう泣くなよ」
と笑いかけてくれる彼を見て、ああ、この人に巡り会えて良かったと感じると同時に、私は幸せだと心の底から感じました。
人に優しくあるためには、強くならなければならない。
弱い優しさなんて存在しないよ。
大切な人を傷つけられたら、どうか全力で戦ってください。