こどもの発達がちょっとゆっくりで、保健センターに通っている。
そこの母子教室の最中、おばあちゃんと男の子が二人、迷い込んで来た。
「すみません、里親会の集まりの会場はここでしょうか?」
トイレに行く時に貼り紙を見たので、
「それなら、上の階の○○室ですよ」
と教えてあげた。
おばあちゃんは頭を下げながら、男の子達の手をしっかり握って去って行った。
でも○○室が引っ込んだ所にあって判り辛いことを思い出し、案内した方が良いかなと思って、子供を先生に預けて追い掛けた。
その時、前方から聞こえて来た漫画のような会話。
小さな男の子「さっきのが『おかあさん?』」
大きな男の子「うん、あんな感じ。でも僕らのおかあさんはおばあちゃんだから!
君と僕が違う所で生まれても兄弟であることみたいに、本当のお母さんでなくても、おばあちゃんがおかあさんだから」
小さな男の子「うん、綺麗なおかあさんたちより、おばあちゃんが一番優しいね、きっと」
おばあちゃんはただただ交互に男の子二人に微笑みかけていた。
その笑顔は本当に優しく、このおばあちゃんがこの男の子達にどれだけの愛情を注いでいるのか伝わって来て、何だか泣きたくなった。