近所に古い駄菓子屋がある。
経営しているのは、お婆ちゃん一人だけ(お爺ちゃんは5年程前に病気で亡くなってしまった)。
いつもニコニコしていて、とても優しいお婆ちゃんで、お金が無い子にはこっそり駄菓子をあげていた(俺も昔もらった)。
そんな感じで近所の評判もとても良かった。
※
ある日、お婆ちゃんがヤクザに罵声を浴びせられていた。
何でも亡くなったお爺ちゃんに少し借金があったらしい。
それをこつこつ払い続けて完済したはずなのに、更に80万円請求され、払わなかったら立ち退いてもらうと脅されたらしい。
お婆ちゃんのピンチに周りが黙っていられるはずもなく、三丁目の人々が一致団結。
集会を開くまでに至り、ヤクザが来た時に駄菓子屋の前に整列。そして猛抗議。
俺は学生だったので様子を見守っていたのだが、あれは圧巻だった。30人以上の大人が声を張り上げているんだもの。
ヤクザも初めは何か言っていたが、すぐに戦意喪失。スゴスゴと引き上げて行った。
お婆ちゃんは泣きながら、ありがとう、ありがとうとずっと言っていた。
そんなお婆ちゃんは今日もお店でニコニコしている。長生きしてもらいたい。