中学3年生の夏。私に不登校でオタクな女の子の友達が出来た。
切っ掛けは些細なことだった。担任の先生が、
「運動会の練習をするから、△△ちゃんを呼びに行って!」
と、何故か私に頼んだのだ。
まともに話したこともないのに…と思ったが、文句を言わずにその子の家まで呼びに行った。
大袈裟かもしれないけど、本当にあれは運命だったのかもしれない。
その子はびっくりするほど元気良く、私に話し掛けて来た。
そして私がアニメ好きだと知るや、自分の趣味も話して来た。
私とその子は友達になった。
※
一週間後、先生が私とその子の席を前後ろ同士にした。
二週間後、その子が朝と帰りのHRに出るようになった。
三週間後、その子が授業にちらほら出るようになった。
そして四週間後、いきなりその子から電話が掛かって来た。
「あ~、○○ちゃん(私の名前)?」
「え…。そうだけど、どうかしたの?」
「あのさ~、さっきテレビで…」
それからその子と小一時間話をした。
家族のことだったり、アニメや漫画のことだったり…。
要するに、他愛もない話をした。
最後にその子はこんなことを言った。
「あ~、明日さ~、暇だったらカラオケ行かない?」
涙が出そうになるのを、私は必死で堪えました。
だって、一緒にカラオケに行く遊び友達なんて居なかったから。
そもそも、友達と他愛もない話で長電話をしたことだって初めてだったから。
※
私は昔から一人ぼっちでした。軽く話せる友達は居るものの、彼女たちと遊びに行くほど親しくはありませんでした。
中学3年生になってから、私はクラスの皆から少しずつ離れて行きました。
そんな私の様子を、先生は気が付いていたのかもしれません。
いつも教室の隅っこで一人本を読んでいる私のことを、心配してくれていたのかもしれません。
先生の真意は今となっては分かりませんが、先生のおかげで、私には初めて親友と呼べる存在が出来ました。
月曜日が待ち遠しく感じられるようになりました。
この場を借りて、お礼を言いたいと思います。