プログラマーの父は、今日も仕事で疲れ切って遅い時間に帰って来た。
すると、彼の5歳になる娘がドアのところで待っていたのである。
彼は驚いて言った。
「まだ起きていたのか。もう遅いから早く寝なさい」
「パパ。寝る前に聞きたいことがあるんだけど」
「何だ?」
「パパは、一時間にいくらお金をもらうの?」
「お前には関係ないことだ」
父はイライラして言った。
「何だって、そんなこと聞くんだ」
「どうしても知りたいだけなの。一時間にいくらなの?」
女の子は嘆願した。
「あまり給料は良くないさ…。20ドルくらいだな。ただし残業代は出ないよ」
女の子は言った。
「わぁ!ねえ、パパ。私に10ドル貸してくれない?」
「何だって!」
疲れていた父親は激昂した。
「お前が何不自由なく暮らせるために俺は働いているんだ。
それが金が欲しいだなんて。だめだ!
早く部屋に行って寝なさい!」
女の子は黙って自分の部屋に行った。
※
暫くして父親は後悔し始めた。少し厳しく叱り過ぎたかもしれない…。
多分、娘はどうしても買わなくちゃならないものがあったのだろう。
それに、今まで娘はそんなに何かをねだることはしなかった。
父は娘の部屋へ行くと、そっとドアを開けた。
「もう、寝ちゃったかい?」
彼は小さな声で言った。
「ううん。パパ」
女の子の声がした。少し泣いているようだ。
「今日は長いこと働いていたし、ちょっとイライラしてたんだ…。ほら。お前の10ドルだよ」
女の子はベットから起き上がって、顔を輝かせた。
「ありがとう。パパ!」
そして小さな手を枕の下に入れると、数枚の硬貨を取り出した。
父親は少し驚いて言った。
「おいおい。もういくらか持っているじゃないか」
「だって足りなかったんだもん。でも、もう足りたよ」
そして、10ドル札と硬貨を父親に差し伸べてこう言った。
「パパ。私、20ドル持ってるの。これでパパの一時間を買えるよね?」