僕は小さい頃、両親に捨てられ、孤独な日々を過ごしていた。
「施設の子」「いつも同じ服を着た乞食」という言葉が常に僕を追いかけた。
同級生と遊びたくても、その家の親に拒まれることが日常だった。
僕は自分が汚い服を着ていても、人を傷つけたり、盗んだりはしていない。
両親がいないのは、僕のせいではない。
でも、僕を理解してくれる人はいなかった。
独りでいることが、一番傷つかない方法だと思っていた。
※
高校に入学しても、僕の机には酷い言葉が書かれていた。
立ち尽くす僕の前から、机がなくなった。
クラスの人気者、Yが僕の机を持ち上げ、廊下に出て行った。
技術室へ行くと、彼は紙やすりで落書きを消し始めた。
「つまんない事に負けんなよ」と彼は言い、黙々と作業を続けた。
「放課後にもう一回ここでニス塗ろうぜ。そしたら元通りだ」と言って彼は笑った。
その笑顔に、僕は感動して泣いた。
Yは照れ笑いを浮かべながら、僕を励ましていた。
※
Yは今、幸せな人生を歩んでいる。
彼がいなければ、僕は今の自分を見つけることはできなかっただろう。
直接言えないけれど、彼の幸せを心から願っている。
彼は僕にとってかけがえのない親友だ。
彼の優しさに対する感謝は、言葉では表現できない。