普段は俺のことをバカにしまくっているドーベルマンのロッキー。
しかし小学生の時、ロッキーは俺を助けてくれた。
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お袋の実家に帰省していた時、近所の大きな川にロッキーと一緒に遊びに行った。
川の石を渡って真ん中まで辿り着いた時、足元のコケに滑らせて転落してしまった。
落ちた場所はギリギリ足が着く深さだったのだが、流されるうちに深い場所に行ってしまい、パニクった俺は泳ぐことも忘れ溺れて行った。
釣り人はもっと上流の方に行かなければ居ないし、道路からも遠いので、溺れながらも必死で叫んでも誰も来ない状況。
しかも川の水は冷たく、段々力が抜けて行って、死を覚悟し始めた頃…。
目の前にロッキーが居て、俺のシャツを噛み、川の岸に運んでくれた。
正直、ロッキーが来るのは有り得ないと思っていた。
だって俺はロッキーが逃げないようにリードを階段の手すりに結んでいたから。
どうやってロッキーは来られたんだろうと思い、水を吐き落ち着いてからロッキーを見ると、リードが噛み千切られていた。
余程暴れたのか、首からも血が出ていて、こんなに必死になって俺のことを助けてくれたのかと思うと、小学生ながらも感動して号泣した。
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それ以来、ロッキーは俺のヒーロー。
もしロッキーに何かがあったら、次は俺が助けてやりたいと思う。