私は生まれつき足に大きな痣があり、それが自分自身でも大嫌いでした。
更に小学生の頃、不注意からやかんの熱湯をひっくり返してしまい、両足に酷い火傷を負ってしまいました。
それから何年も通院しましたが、
「火傷の痕は手術をしないと治らない」
と医者に言われました。
小学生で全身麻酔が打てないということもあり、痕はそのままにするしかありませんでした。
しかし、それは容易いことではありませんでした。
直射日光に当ててはいけないし、プールや体育の授業の時はもちろんのこと。
制服はスカートなので、痣や痕が見えるとからかわれたり、気持ち悪がられました。
好きな人には、
「気持ちが悪いから付き合えない」「好きになられても迷惑だ」
と言われ続けました。
その言葉がショックで、それから学校以外は外にあまり出ませんでした。
おかげで肌は真っ白、余計に不気味に思われていました。
※
高校になり、地元以外の何も知らない人達と関わるようになりました。
好きな人も出来ました。
痣や痕のことは、知らない人でした。
そして、晴れて付き合うことになりました。
しかし、そのことは言えないまま半年が過ぎた頃、彼が
「そろそろいいかな…」
と聞いてきました。
痣や痕が気持ち悪くて、見られたら嫌われると思っていたから、とても怖かったのですが、心から愛していたので身を委ねました。
彼は最初に見た時はやはり、
「はっ」
と息を飲んでいました。
けれど、彼は
「辛かったでしょ…」
と優しく撫でてくれました。
もう細胞が死んでいるのか、感覚は全く無いのに、私の名前を呼びながら何度も撫でてくれました。
私は生まれつきあった痣のこと。
不注意で負った火傷のこと。
今までの経験を、その時初めてゆっくり話しました。
最後に、
「気持ち悪いよね、引くよね…?」
と聞くと、彼は
「なわけねーだろ!」
と笑いながら言ったのです。
そして極めつけに一言、
「生まれつきのものなんて、俺にもあるぞ!この我儘でどうしようもない性格とかな。そんなの誰にでもあるだろー!」
私はこの時まで、誰かに認められることが無かったのです。
でも、分かち合えるのは本当に素晴らしいと思いました。
愛というのは、空以上に愛しい人を包み込むものだと思いました。