君が死んでから、もう一年が経つ。
君は今も僕を、見守ってくれているのかな?
君は僕にとって、生まれて初めて出来た彼女だった。
凄く嬉しくて、幸せだったなあ。
突然、白血病であると医者に宣告されてから、君は病室で日に日に弱って行った。
「病院って暇ねえ」
と笑う君を見て、僕はいつも泣いていたんだ。
※
君のために僕の小汚いノートパソコンをあげたら、君は凄く喜んでくれたよね。
ネットをするようになった君がいつも見ていたサイト。
それが『2ちゃんねる』だった。
ある日、君はいつものように、笑いながら言った。
「ほら、見て。今日も2ゲット出来たよ」
「あまりパソコンばかり弄ってると身体に障るよ」
なんて僕が注意すると、
「ごめんねえ。でもね、これ見てよ。
ほら、この3の人。『2げっとぉ!』なんて言っちゃってさぁ、フフ♪」
僕は黙っていた。君が凄く楽しそうで、僕には何も言えなかった。
「ほら見て、この3の人。変な絵文字使って『くやしぃ~!』だって。かわいいねえ。フフ♪」
僕はまだ黙っていた。笑う君を見て、どうしようもなく悲しくなった。
「憶えていてくれるかなあ」
君がふと言った。
「この3の人、私が居なくなっても、
『あの時、変な奴に2を取られたんだよなー』
なんて、憶えていてくれないかなあ……。
無理かな……。
憶えていて、ほしいなぁ……」
※
それから数ヶ月後、君は家族と僕に見守れながら息を引き取った。
君はもうこの世に居ない。
なのに僕は今、F5キーを連続で叩いている。
君の事を、3の人が忘れないように。いつまでも、いつまでも忘れないように。
僕が2ゲットを取って、忘れられないように。