大好きだった彼女と別れた。
理由はシンプル。
俺が早稲田に落ちて浪人が決定したから。
「二人とも大学卒業したら結婚しようね」
こう言ってくれた彼女。
でも彼女は俺が浪人中に亡くなってしまった。
※
あれは8月を過ぎた頃だったかな。
メールも電話も全然来なくなって、
『彼女も浪人中の俺に気を遣ってくれているんだ』
と思い、より一層勉強に身を注いだ。
『早稲田に受かったら、もう一度彼女に告白しよう』
こう決めて、かなり高価なネックレスを買った。
受験結果は早稲田大学教育学部に合格。
真っ先に彼女の家へネックレスと合格通知届を持って向かった。
※
しかしそこにあったのは、彼女の遺影だった…。
一瞬で頭が真っ白になり、現実を受け止められない自分が居た。
親御さんから話を聞くと、ちょうど連絡が来なくなった8月辺りに、サークルの仲間との飲み会で急性アルコール中毒になって死んでしまったそうだ。
原因は、先輩との早飲み対決の強要によるものだった。
『俺が現役で大学に受かっていたら、彼女を守ることが出来たのに』
悔しさと涙と、自分に対する憤りが込み上げて来て、訳が解らない状態でした。
※
二年間思い焦がれた早稲田にようやく合格出来た日なのに…。
もう戻って来ない彼女。
あんなに好きで、あんなに愛し合っていて、結婚まで約束したのに。
俺を残して先に逝くなんて…。
いつも俺の横に居て、俺を支えてくれる笑顔が可愛い彼女…。
俺は結局この悲しみを乗り越えられず、早稲田は2年で中退した。
8年もフリーターをやって、もう一度、中央大の法学部夜間に再入学して卒業した。
今だに彼女の夢を見る。