半年程前に「強くなりたい」と相撲道場に入部して来た子。
はっきり言って運動神経も無く、体もひ弱です。
あまりここに書くのも憚られますが、とても切ない過去を持つ子供なんです。
何でも、父親に虐待され、母親と一緒に実家に逃げて来たとか。
母親が殴られて泣かされるところを、何度も見て来たそうです。
それで「母親を守れるくらい強くなりたい」と、自分の足で相撲道場を調べてやって来たそうです。
こんな子供が、本当に居るとは…。
家庭環境の話など、聞いていて目頭が熱くなりました。
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稽古には驚くほど真剣に取り組みます。
一度でも倒されると「もういっちょお願いします!」と立ち上がる。
おでこから血が流れても、構わず必死にぶつかる。
申し合いの時も、積極的に前に出て取り組みます。
ゲロを吐いて「少し休め」と言っても、「まだまだ!」と稽古を続ける。
泣きそうになるのを、奥歯を噛み締め我慢している姿を見ると、絶対に強くしてあげたいと思うようになります。
ただ体格が悪いのと、ちょっと気が弱いため、まだまだ勝てるレベルには到達していませんが。
しかし、必死に稽古を頑張っている姿は、周りの子供にも少しずつ影響を与え始めています。
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家でも努力しているようで、毎日四股腰割りを百回以上するそうです。股割が段々と出来るようになって来ました。
しかも家ではお母さんのために皿洗いをしたり、肩を揉んであげたりするようです。
まさかこんな子が現代に居るとは…。
この子の成長が楽しみです。