航空自衛隊に所属する先輩から聞いた話。
航空自衛隊では覚えることが山ほどあり、毎日24時まで延灯願いを出して勉学に励んでいた。
座学(学課)でも指定の成績を取れないとパイロット免となる。
カンニングは即刻首という厳しさだった。
そんな中、仲間の一人のカンニングが露呈した。
同期全員が血判状を持って教官に懲戒の取り消しを依願したが、規則は曲げられないとして、その学生は首になった。
あれから十数年後、同期会に出席した彼は、席上こうスピーチした。
「あの当時は悔しくて苦しくて、何度も自暴自棄になった。
自衛隊に対しても悪い感情を持ってしまい、遠ざけてきた。
しかしあれから十数年経って、やっと気持ちの整理がついた。
自分の行動には責任を取らなくてはならなかったのだ。
その時、私は責任と引き換えに夢を失ったが、代わりに大切なものを頂いた。
その時に皆さんから貰ったこの血判状が私の一生の宝物です」