サイトアイコン 泣ける話や感動の実話、号泣するストーリーまとめ – ラクリマ

春一番と親切なカップル

桜(フリー写真)

春一番が吹き荒れた日。

本当に物凄い強風で、その日は朝から店の看板が倒れたりトラブル続きで、ずっと落ち着かず疲れ切っていた。

そんな時、若いカップルのレジをしていると、彼氏の方が

「駐車場の段ボールが飛び散って迷惑なんですけど。あのままにしておいていいんですか?」

と少し怒りながら言って来た。こちらも疲れ切ってイライラしていたので、

「申し訳ございません。今すぐ片付けます」

と適当にその場を収め、嫌々強風の吹き荒れる外へ出て駐車場を見たら、見事に段ボールが一面に散らばり舞っていた。

片付けるにも、その最中も強風が吹き止むはずも無く、気の遠くなるような作業だった。

もうこのまま放って置けばどっか行くだろ…なんて思いながら掻き集めていたら、後ろから

「すみません、これ…」

と、さっきのカップルの彼女の方が、私より遥か多くの段ボールを抱えて立っていた。

くるくる綺麗に巻いた髪がボサボサになっていた。

ひらひらの綺麗なワンピースを着ているのに、汚い段ボールを胸いっぱいに抱えていた。

その後ろには彼氏が、段ボールを沢山抱えて立っていた。

自分がとても恥ずかしくなった。

申し訳ない気持ちで一杯になった。

カップルから段ボールを受け取り、深々とお辞儀をすることしか出来なかった。

モバイルバージョンを終了