泣ける話や感動の実話、号泣するストーリーまとめ – ラクリマ

やりたいこと頑張りなさい

ベース(フリー写真)

三年前のある日、両親が離婚。俺と弟が母さんに付いて行きました。

母さんは今まで専業主婦だったから、仕事なんて全然出来ない。

パートを始めるも、一ヶ月も経たない内に退職の繰り返し。家計は苦しくなる一方。

当時高校生だった俺のバイト代だけではやって行けるはずも無く、高校を中退して現場の仕事に就きました。

その際に少しでも家計の足しになればと漫画やゲームを全て売り、家にあるエフェクター、ベース、ギターも売ろうとしました。

でも、母さんは

「あんたの見つけた趣味なんだから、バンドだけは続けなさい」

と、楽器の売却には猛反対しました。

学校を辞めた時にバンドも辞めたから楽器があっても意味が無いと思い、俺は売る気満々でした。

でも母さんがあまりにしつこく言うので、ベースだけ一本残しました。

その後、仕事仲間にバンドをやろうと誘われ、バンド活動を再開しました。

手元にあるのはアイバニーズのしょぼいベースのみ。

アンプもシールドも無い。シールドが無きゃスタジオ練習も出来ないので、楽器屋の600円の激安シールドを一本だけ買いました。

それ以来ずっとチョッケルです。

話が逸れるんだけど、今年の誕生日に母さんが

「いつも無理して頑張ってくれてるから…」

と言って、少しずつ貯めていたパート代でモンスターケーブルを買ってくれました。

何やってんだよバカ。家計が苦しいのに。

楽器のこと、素人なのに楽器屋の店員に色々聞いただと?

無理してんじゃねえよ。そんな金あるなら自分の服でも買えってのに…。

やつれた顔で精一杯笑いながら、

「誕生日おめでとう。まだ若いんだから自分のやりたいこと頑張りなさい」

恥ずかしながら泣いちゃったよ。もう体の水分が全部出るくらい(笑)。

中学の卒業式以来だよ、親の目の前で大泣きしたのは。

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