泣ける話や感動の実話、号泣するストーリーまとめ – ラクリマ

天国へ持って行きたい記憶

浜辺の母娘(フリー写真)

『ワンダフルライフ』という映画を知っていますか?

自分が死んだ時にたった一つ、天国に持って行ける記憶を選ぶ、という内容の映画です。

高校生の頃にこの映画を観て、何の気無しにママに聞いてみた。

「天国にどのシーンを持って行きたい?」

そしたらママは即答えました。

「アンタが生まれた瞬間かな」

うちは大して裕福でもなかったのに、私が男の子が苦手だったからという理由だけで、小学校から身分不相応な私立のお嬢さん学校に通わせてもらった。

それなのに少しも勉強せず、ママは何度も赤点を取った私のせいで学校に呼ばれた。

受験も無い癖に、授業に付いて行くために塾へも行かせてもらった。

そんなに余裕は無かったはずなのに…。

でも当時の私は全然そんな事も考えず、過干渉だと反抗ばかりして、プチ家出を繰り返していた。

沢山怒らせて、沢山泣かせた。

それでもやっと専門まで出て、念願の幼稚園の先生になる事が出来た。

家にお金も入れられるようになった。

それなのに無計画な妊娠…。しかも相手は四つも年下の学生の彼氏。堕ろして欲しいと言われた。

「産みたいけど、一人じゃ無理だよ」

とママに言ったら、

「人殺し!」

と私を引っ叩いた後、

「私にまだ子宮があれば、代わりに産んであげたのに…」

と泣き始めた。

ママは子宮筋腫で子宮を摘出してしまっていた。

その後、私の貯金と、今まで家に入れていたお金(ママが貯めていてくれた)を合わせて引っ越し、出産資金にした。

彼氏ははっきり言って自己中心的な子どもだけど、何とか説得したよ。

今はお腹の子どもに毎日話し掛けている。

これだけ大切に育ててもらったのに、24歳にもなって何一つお返し出来ず、最後の最後に心配や迷惑を掛けたまま嫁に出た。

妊娠経過も良くなくて、度々お世話になってしまった。

みんな諦めた方が良いと言う中、あなただけが私の産みたい気持ちを尊重して、精一杯の事をしてくれた。

私の幸せのために祈り、叱ってくれた。

こんな大人になっても駄目な娘だけど、それでもやっぱり天国には、初めて会えた日の記憶を持って行ってくれるかな?

ママの孫は、今週か来週には生まれるよ。

あなたを超えるのは難しいけど、私も娘に、あなたが与えてくれた愛情を伝えて行きます。

いつもごめん。

ありがとう。

世界一尊敬しています。

もうすぐバーバになるママへ。

もうすぐママになる馬鹿娘より。

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