泣ける話や感動の実話、号泣するストーリーまとめ – ラクリマ

ロクな大人

ちまきと柏餅(フリー写真)

この前の、子供の日。

夫の親、兄弟、親戚、一同が集まった席で、いつものように始まった大合唱。

「一人っ子は可哀想」

「ロクな大人にならん」

「今からでも第二子は遅くない」

「今なら高度医療で何とかなるやろ?」

困った顔をしながら苦笑いを浮かべて、適当に生返事をしてやり過ごすしか、私達夫婦には方法が無くてね。

うっかり事情が知れたら、もっと傷付けられる。

ああ、仕方が無い人達だ。我慢しよう。嵐が過ぎるまで…と、そう思っていたのだけど…。

今年、小学5年生になる息子がその時、鋭い口調で言い出した。

「ロクな大人の『ロク』って何さ?

嫌そうに聞いている人間に嫌な言葉を言い続けるのが『ロク』なんか?

ここに居るみんな、俺以外はみんな兄弟が居るロクな大人やろうもん。

ロクな大人の『ロク』がこう言うことなら、俺はロクな大人にならんでよか!

ああ、よかったったい。俺はロクな大人になれん一人っ子で。

ちぃーともかわいそうなこと、なかやっか。一人っ子ばんざい!」

一同が静まり返って、決まりが悪そうに視線をあちこちに泳がせ始めた時、

「母さん、俺を産んでくれてありがとう。

一人だけでも俺を産んでくれてありがとうな」

そう照れくさそうに言うと、ちまきを2、3個引っ掴んで、

「△△の家に遊びに行って来るったい。行ってきまーす!」

と飛び出して行ったよ。

「今日と明日は、俺が家事やるけん。母さんはゆっくりしときー。

母の日やけん。お金かからんいい孝行やろもん。俺ってあったまいー」

今、息子は昼ご飯にとホットケーキを焼いているようです。

でもね、母の日のプレゼントは先週にもう貰ったと、私は思っているんだ。

えへへ、親馬鹿だけど、良い息子に育ってくれたのが嬉しくて。

誰かに聞いてもらいたかったんだ。

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