両親が離婚して、若くして妊娠した母親にとっては、望まれた子供ではなかった。
自分が6歳の時に母は別の男性と付き合い、父親も別の女性と関係を持ったため、両親は自分の親権を争う裁判をしていた。
しかし、母の弟である自分の叔父は、
「貴様らは最低だ。どこにでも行ってしまえ。二度とこの子の前に現れるな」
と言い、自分を引き取ってくれた。
当時の自分は、両親のことや突然現れた叔父に戸惑っていた。
しかし叔父は自分を「まーちゃん」と呼び、幼い自分に愛を教えてくれた。
叔父は土木作業員で、自分を毎日迎えに来てくれた。
そして夕飯の材料を買いに行き、プラモデルやキャッチボールをして遊んでくれた。
自分には両親の存在がなく、叔父が自分に与えてくれた愛、優しさ、喜びは忘れられない。
叔父は自分の高校卒業後、服の専門学校に入れてくれ、自分の幸せを常に考えてくれた。
ところが突然病に倒れ、手術後1ヶ月で亡くなってしまった。
自分は咄嗟に「お父さん!」と叫び、叔父の手を握りしめた。
叔父は目を開けて自分の頭を撫で、静かに目を閉じて亡くなった。
今でも、叔父の思い出を振り返ると、涙が止まらなくなる。
自分には実の両親のことを思い出せなくなってしまったが、叔父は自分の父親であり、母親でもあった。
今度生まれ変わったら、本当の親子として生まれたいと思う。
お父さん、今でも会いたいです。