今まですれ違いが多くて、なかなか時間を取って話す機会のなかった父。
そんな父と時間を取って話す機会を得たのは、恥ずかしながら仕事でミスを連発して会社から叱責を何度も受けていた時だ。
家に帰り、何気なく
「もう仕事がしんどい…」
と呟いた自分に、父は今週末飲みに行こうと言った。
近所の居酒屋で父と酒を飲む。家で飲むことは今までにもあったが、居酒屋で二人で飲むというのは今まで生きて来て初めてのことだった。
仕事のことなど、自分の話を一通り聞いた後、父が言った言葉。
「お前が生まれた時な、何とも言えない不思議な気持ちになったんだよ。
初めての子どもだったからな。
この子は特別な子だってその時思ったし、今でもその気持ちは変わらん。
だからいくら辛いことがあろうが、苦しもうが俺、そして母さんがお前のことをそう思ってると思っていてくれ」
自分に自信が無くなっていた自分にとって、凄く染みた言葉だった。
今でもその言葉を思い出してよく泣いてしまうことがある。
父さん、今も苦しいけど、生き辛いけど、あなたの言葉で今も必死に人生にしがみつけています。