母さん、本当にありがとう。
生んでくれてありがとう。
こんな俺でも生んでくれてありがとう。
愛情を注いでくれてありがとう。
沢山笑ってくれてありがとう。
一緒に落ち込んでくれてありがとう。
一緒に泣いてくれてありがとう。
あなたは最高の母親です。
親父も鼻が高いよ。
たくさん泣きたいよ。
あと一ヶ月後には、あなたが居ない生活が始まるんだ。
俺が芋ようかんを買って来ても、病院のベッドでそれを食べてはしゃがないでね。
泣かせないで、顔を歪めないで。
でも、母さんが喜ぶなら、芋ようかんはいつでも買って来るよ。
母さんが居なくなっても、ずっとずっと母さんのために喜ぶことをするよ。
母さん、ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。
ごめん、泣いちゃった。
厚かましいけど、書かせてくれ。
お願い、書かせてくれ。
最近はずっと起きてる。
なるべく寝ないようにしてる。寝ても二、三時間くらい。
後、俺の家族に残された一ヶ月という時間を、出来るだけ記憶に留めておきたかったんだ。
寝てしまうその時間ですらも惜しいんだよ。
俺に何か出来ないか、そればかり考えてる。
残念ながら、俺には何も出来ないんだよ。
病気の進行は容赦ない。母さんをすぐに蝕んで行くんだ。
薬の副作用で母さんの顔がむくんで、髪がボロボロ抜け落ちていった時に、
「あはは、お母さんブサイクになっちゃったわねぇ~!」
と、母さんは元気いっぱいに俺に言ったんだ。
俺が病室を出ると、母さんの泣き声が漏れて来た。
俺は病院の廊下で恥ずかしながら泣いたよ。
母さんが俺の前では元気いっぱいに振る舞っていたのは、親心なんだと気付いたよ。
母さん、俺バカでごめん。