母は、バツニです。
1人目の旦那さんで兄と私を産み、2人目の旦那さんで妹を産みました。
1人目の父はギャンブル依存症で、多額な借金を抱え家に帰って来ないほどパチンコをしていました。
このままでは子供を育てられなくなるため離婚しました。
2人目の父は物欲が凄く、多額な借金を残して返済できないままこの世を去りました。
母は2度も結婚を失敗し、3人の子供を1人で育てることになりました。
誰の力も借りず、夜は子供たちを家に置いて仕事に行っていました。
夜に母が居ないのはかなり寂しかったのですが、妹がまだ幼かったので『夜は私がちびママをしなきゃ』と思い、寂しい気持ちは隠していました。
母は『貧乏な思いは絶対させない』と思いながら働いていたそうです。
おかげで、貧乏だと思ったことは一度もありませんでした。
欲しい物がなくなるくらい買ってもらっていました。
他人のお父さんを見て羨ましいと思ったこともありませんでした。
母の愛情だけで十分でした。
3人とも母が大好きだったので、母の力になろうと家の掃除をしたり洗濯をしたり、母が喜ぶことを沢山していました。
おかげで、母子家庭でも他人に自慢したくなるくらいとっても幸せな家族でした。
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そして私も20歳になり、無事に成人を迎えることができました。
不意に、母の顔にシワが増え小さくなった背中を見て、
「波乱万丈な人生だったね」
と言いました。
すると、母はこう言いました。
「波乱万丈やったよ。子供たちを沢山振り回してしまったし…。
こんなどうしようもないママに3人とも付いて来てくれてありがとうね。
けどね、もし人生をやり直せても、ママは同じ人生を歩むよ。
あなたたち3人に出会えるんだったら、また同じ人と結婚する。
その時はまた、ママのところに生まれて来てね」
私は、強く頷きました。
すると母は嬉しそうに微笑んでくれました。
私も絶対、お母さんのような強くて素敵な母親になりたいと思いました。