
結婚して五年目、ようやく待ちに待った子どもが生まれた。
抱きしめた瞬間、涙があふれ、世界で一番の宝物だと思った。
二年が経ち、子どもに障害があることが判明した。
目の前が真っ暗になった。すべてが嫌になった。
そして、子どもを連れて、いっそ一緒に死んでしまおうとまで思った。
そんなとき、旦那からメールが届いた。
※
『好きで好きでたまらない貴方と結婚できて嬉しかった。
子どもが俺たちの間に生まれてきてくれて、本当に嬉しかった。
でも、障害があるとわかって、今、貴方は苦しんでいるね。
でもさ、子どもはきっと世界一、幸せだと思うよ。
貴女とオレの子だから。
人より遠回りするかもしれない。ゆっくり成長するかもしれない。
でも、その分、いろんなものが見られるよね。
二人三脚でしっかり歩いて行こうよ!
──本日の幸せ──
子どもが「ママ~すき!」と言えた。
早朝五時、あり得ない時間に起きて、三人で行った散歩、思いのほか楽しかったな。
夕飯のぶり大根、美味かった!
三人で入った、狭くてギューギューのお風呂、たまにはいいもんだ。
なっ! 今日だけでも、こんなにいっぱい楽しいことがあったろ?
明日はどんな幸せが待ってるかな。
なっ、ママ。
最後に、子どもが寝たらDVD観よ!
奮発して買ってきたんだ。ママの好きな「古畑」だよ。
ほら、またひとつ幸せが増えたな。
辛いことは、日にそう何回もあるもんじゃない。
楽しいこと、幸せなことは、日に何度でもある。
ママ、一緒に乗り越えような!』
※
読み終えたとき、涙が止まらなかった。
この人と出会えてよかった。
この子と一緒に生きていけることが、どんなに尊いことか、心の底から感じた。
今、私たちは、約束どおり二人三脚で、楽しく、笑いながら、毎日を歩いている。