泣ける話や感動の実話、号泣するストーリーまとめ – ラクリマ

父と過ごした日々

親子(フリー写真)

2年前、父を癌で亡くしました。

癌が発覚したのはその3年前。風邪が治らないと病院に通い、それでも治らず精密検査をしたら肺癌が見つかりました。しかもリンパにも転移していました。

この時から、父を含め私達家族は、彼の人生が残り少ない事を少しずつ覚悟していたと思います。

リンパに転移がある以上、もう癌を切っても意味がないので抗ガン剤治療です。

副作用で味覚は変わってしまい、美味しいものを美味しく食べられない生活でした。

そんな中でも私達家族も父も精一杯、幸せに過ごす事を一番に考えて沢山笑いました。笑う事で少しでも回復すると信じていました。

でも現実は甘くはなく、ある時から食べられていたのが食べられなくなり、ずっと嘔吐を繰り返し、ついには痩せ細って倒れてしまいました。

私は内臓に癌が転移したのかと心配していたけどそうではなく、転移は脳でした。

父は脳に転移した事で日常生活もままならず、記憶力も日に日に落ちて行きました。

賢くて、頼りになって、困ったら何でも直してくれた父が、子どものようになってしまいました。

病はゆっくり父を蝕み、脳に転移が発覚した一年後、父は静かに息を引き取りました。

病気が発覚してから父とお別れするまで、私達には3年の月日がありました。

事故などで大切な人と突然お別れした方々の事を思うと、父と向き合う時間をしっかり作れたのは幸せな事でした。

父自身も、脳への転移で闘病で苦しんだ事も死への恐怖も最後まで分からず、精神的に辛かった方々を思えば幸せだったと思います。

だけど、やはり最初の病院でもっと早く癌を疑ってくれたら、嘔吐が繰り返された時にもっと早く脳への転移を疑っていたらと、後悔すればきりがありません。

最後にお父さんとちゃんと話したのはいつだったかな。どんな話をしたのかな。

最後のお父さんの言葉、ちゃんと聞きたかったな。色々大切な事を言葉にして話したかったな。

お父さん、大切にしてくれてありがとう。いつも助けてくれてありがとう。

お母さんが反対した結婚に賛成してくれて祝福してくれてありがとう。

彼が挨拶に来た時泣いてたよね?

孫の事もとても可愛がってくれてありがとう。

これからも大切に育ててもらった分、お父さんと一緒に居られなかった分、お母さんを大切にして、家族を大切にして、周りを大切にして、私は一生懸命生きるから見守ってね。

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