中学1年生のころ、私の身近にはO君という特別な存在がいました。
私たちは深く心を通わせ、漫画やCDの貸し借りを楽しんだり、放課後や週末には図書館で学び合ったりしていました。
しかし、中学2年生を迎える前、私は遠くの街へ転校することに。
O君の涙に心が痛んだが、驚くことに彼の親友から、
「O君は、君のことを本当に好きなんだ」
と打ち明けられ、私の心は戸惑いで一杯になった。
当時の私は、まだ子供の心で“好き”や“嫌い”の感情の深さを知らなかったのだ。
恋愛に熱中するクラスメートを見ても理解できず、そうした雑談がないO君との時間が心地よかっただけだ。
だが、その告白に驚き、残りの日々はO君から遠ざかってしまった。
転校する日、彼は私に最も大切にしていたCDを手渡してくれた。
そのCDは私にとって重すぎるものとなり、聴くことなくそのままの場所に保管してしまった。
時は流れ、成長した私は“好き”という気持ちの大切さを知ったとき、O君への後悔と感謝の気持ちで胸が溢れた。
もしかしたら、私も彼のことを心の奥底で好きだったのかもしれない。O君、本当にごめんなさい。