サイトアイコン 泣ける話・感動する実話まとめ|ラクリマ

先に行ったあなたへ届ける手紙

家族

あなたが天国に足早に旅立って、もう十二年になります。

あのとき二歳だった娘も、

生まれたばかりだった息子も、今ではすっかり中学生です。

泣き声ばかり聞かせていた赤ちゃんが、制服を着て学校に通っているなんて、あなたが聞いたらきっと驚くでしょうね。

あの日からずっと、私は自分を責め続けてきました。

あのとき、何かできたんじゃないか。

こうしていれば、もしかしたらあなたはまだ生きていたんじゃないか。

そんな「もしも」のことばかり、頭の中で何度も何度も繰り返しました。

あなたの家族からは、

「私たちなら救えたのに」

そんな言葉も浴びせられました。

なぜ私だけが、こんなにも責められなければならないのか。

なぜ私だけが、こんなにも苦しまなければならないのか。

心も身体も、ズタボロでした。

何度も、何度も、あなたを追いかけていこうと考えました。

もう全部終わらせてしまいたい、と真剣に思った夜もあります。

それでも、私の前にはいつも、笑顔で「ママ」と呼んでくれる二人の子どもがいました。

熱を出せば不安そうに私の手を握り、転べば涙目で抱きついてくる。

「ママがいないと困る」と、言葉にならない言葉で、必死に伝えてくる小さな手がありました。

その小さな手を振りほどいてまでは、どこにも行けませんでした。

気がつけば、私はただ無我夢中で、この十二年を走り抜けてきました。

今振り返ると、私の中で一番大きかったのは、悲しみよりも「怒り」だったのかもしれません。

かわいい子どもたちの成長も見ずに、先に逝きやがって。

入学式、運動会、卒業式。

夫婦が並んで子どもを見守る姿を目にするたびに、胸の奥がじくじくと痛みました。

子どもが体調を崩して不安なときも、

子育てに行き詰まって、自分を責めて泣きたくなったときも、

「あなたがいてくれたら」と、何回、何百回、心の中でつぶやいたか分かりません。

置いていきやがって。

……あほ。

そうやってあなたに八つ当たりしながら、私はなんとか立っていました。

そんな私に、十歳になった娘が一通の手紙をくれました。

「ママが元気でいてくれれば、私はいいです」

たったそれだけの短い言葉だったけれど、その一文を読んだ瞬間、堰を切ったように涙があふれました。

子どもたちなりにも、きっといろいろあったはずです。

寂しさも、不安も、周りからの心ない言葉も、きっと感じてきたはずです。

それでも二人は、何一つ私を責めることなく、

「パパいないけど、うちは幸せだよね」

と、何度も何度も、二人そろって言ってくれました。

そのたびに、胸がぎゅっと締めつけられるようでした。

こんなに良い子たちを残して、あなたはいったい何をそんなに急いで、先に走っていったの。

私は決めました。

この子たちを、私の人生をかけて幸せにする。

あなたの分まで、しっかりと守って、愛して、育てきる。

だからあなたは、そちらから精一杯見守っていなさい。

入学式も、運動会も、卒業式も、姿は見えなくても、ちゃんと見ているんでしょう?

私が一人で頑張っているように見えても、実はずっと、後ろから支えてくれているんでしょう?

そう信じて、これからも前を向いて生きていきます。

あなた、二人の子どもを私に授けてくれて、ありがとう。

たくさんの人がいる中で、私と出会って、私を選んでくれて、ありがとう。

支えきれなくて、ごめんね。

もっと上手に甘えさせてあげられていたら、と今でも思うことがあります。

それでも私は、あなたと過ごした日々も、残された十二年も、全部ひっくるめて、大切な宝物だと思っています。

私がそちらに行ったら、まずは一発パンチな。

思いきり文句を言って、そのあとで、思いきり抱きしめてね。

その日まで、もう少しだけ、ここで頑張っているから。

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