「いっぱいの幸せをありがとう。
私は幸せ者だ。
だって最期にあなたの顔を見られたから。
これも日頃の何とやらなのかな?」
病室のベッドで手を握りながら彼女は言う。
最期って何だよ。
お前は死なない、そうだろ?
泣きながら返す僕を見て笑いながら、
「○○、前に言ってたよね?
私が先に死んだら俺も後追うよって」
震えた声で彼女が言う。
「あぁ、すぐに行くから先行って待っててな!」
俺は本気で返した。
彼女が居ない世界なんてきっと色のない世界と同じだと思うから。
「ありがとう。
でも、絶対に来ないで。
その言葉が聞けただけで私は満足だよ。
あぁ、幸せだなぁ。
いい?
あなたは絶対に違う人を見つけて幸せになってね?
私の事は忘れて下さい。
大好きなあなたの足枷にはなりたくないの。
絶対に私の後を追わないで!!
約束しないと化けて出ちゃうよ?(笑)」
返事が出来なかった。
ここで返事をしたら、彼女がもうすぐ死ぬことを認めてしまうようで怖かった。
頭では理解しているつもりだが、本当に認めたくなかったのだ。
「ゆーびきーりげーんまん、うーそついたら…」
そう掠れた声で言いながら、彼女は天国へ旅立ちました
※
あれから2年。
好きな人は出来ないや。
だってお前じゃなきゃ意味ないもん。
お前とじゃなきゃ楽しくないもん。
でもな、後を追おうと思ったけど、約束守って追わなかったよ。
俺まで死んだら、お前との思い出がこの世界から消えてしまうから。
辛いよ、毎日本当に辛いよ。
いつかは俺もそちらに行きます。
その時はいっぱいいっぱい話しようね?
いっぱいいっぱい抱き締めて、
いっぱいいっぱい頭撫でて、
いっぱいいっぱいキスをしよう。
幸せをありがとう。
あと少し頑張って這いつくばってでも、生きてみます。